Research Topics


全体ポスター(生物海洋学・化学海洋学)

全体ポスター(物理海洋学)

東シナ海ポスター


東シナ海・黄海の環境に関する研究

有明海の環境に関する研究

人工衛星による基礎生産推定に関する研究

台風の海洋基礎生産への影響に関する研究

伊勢湾の環境に関する研究

海洋圏の環境・災害問題についての数値シミュレーション

太平洋・インド洋・大西洋・南大洋における各種波動と気候変動の相互関係の解析





東シナ海・黄海の環境に関する研究


 東シナ海・黄海は、日本、中国、韓国に囲まれた浅く広い大陸棚を含む海域であり、特に中国から流入する河川である長江(揚子江)の影響があると考えられます。現在急速に発展する中国では、農業による肥料や都市からの排水によって河川水が汚染されている一方、気候変動や水利用による河川流量の変化によって、その流入先である東シナ海・黄海の変化が起きていると考えられます。最近話題になっている、大型クラゲやアオサ、赤潮の大発生などもそれが関係している可能性があります。この研究室では、東シナ海・黄海の環境に関して、一次生産者である植物プランクトンに注目して、人工衛星のデータ解析や海洋観測によってその変化と原因に関して研究しています。(図は人工衛星で測定された各月の植物プランクトンのクロロフィルa濃度分布)

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有明海の環境に関する研究

 有明海はこれまで高い生産性を保っていましたが、最近赤潮の頻発化・貧酸素化・漁業の衰退などの環境の変化が報告されています。1998年に開始された諫早湾干拓がその原因として注目されていますが、実際の原因に関しては、まだ良くわかっていません。有明海はもともと強い潮流によって泥が舞い上がる濁った海と知られていましたが、最近透明化していることも指摘されています。本研究室では、このことに着目し、衛星リモートセンシングと現場観測によって、赤潮や一次生産の観測を行なったり、濁りの成分を分析して、その因果関係を研究しています。(図は人工衛星で観測された2000年から2001年の冬にかけて起こった赤潮の分布図)


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人工衛星による基礎生産推定に関する研究

 海洋の基礎生産は顕微鏡サイズの植物プランクトンによって行われていますが、陸上の基礎生産とほぼ同じ程度といわれています。この基礎生産で作られた有機物の一部は、海洋の深い層に沈降し、海洋表層から離れることによって、海洋が二酸化炭素を吸収することを助けており、地球上の炭素の循環に大きな役割を果たしています。また、その有機物が漁業を含めた海洋の他の生物の生活を支えています。広い海洋での基礎生産を測定するのは、船舶だけを利用しても容易ではありません。そこで本研究室では人工衛星を利用して基礎生産を推定する手法を開発しています。(図は人工衛星みどり2号で観測した全球のクロロフィルa濃度、表面水温、日射量、基礎生産)


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台風の海洋基礎生産への影響に関する研究

 近年、地球の温暖化によって台風が増加し、強くなる可能性が指摘されています。台風は海洋の表層を乱し、深層水を太陽の光の十分ある表層に運びます。そのため、深層水には植物プランクトンの生育に必要な栄養塩が豊富に含まれており、台風の通過によってむしろ植物プランクトンが増加し、しいては二酸化炭素を海洋中に運んでいる可能性もあります。本研究室では、台風によってどの程度の植物プランクトンと、その基礎生産が増加するのかを、主に人工衛星のデータを利用して研究しています。(図は2004年の台風21号の軌跡とそれによる水温の低下とクロロフィルaの上昇)


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伊勢湾の環境に関する研究

 伊勢湾は周辺の人間生活のために富栄養化し、赤潮や貧酸素が毎年のように発生している。現在、いろいろな形で伊勢湾流域の環境改善の努力が進んでいますが、伊勢湾自体でどの程度改善が進んでいるかはまだ良くわかっていません。当研究室でもこれから伊勢湾の研究を開始したいと思います。ぜひ興味のある新しい大学院生に挑戦してもらいたいと思っています。
(図.2009年4月11日の伊勢湾周辺の衛星クロロフィル画像)


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海洋圏の環境・災害問題についての数値シミュレーション

 この研究の醍醐味は、海洋学・気象学・波動乱流・土木工学・計算幾科学の知見を組み合わせて、環境問題と災害問題に関する自然現象のメカニズムを解明することです。私たちは多圏結合モデルの一部としての海洋圏モデルの開発を継続し、それを用いた数値シミュレーション研究を行っています。
 これまで気象学研究室と協力して台風に代表される突発的な顕著現象に伴う高潮・高波などの海洋災害の予測精度の向上を目指してきました。大気モデルCReSS・海洋モデルNHOES・波浪(海面の風波やうねり)モデルの間の交換物理量は20種類ちかくあります。その表現方法の整合性について、私たちは数値計算による検証と理論発展を進めています。
 大気と海洋だけを結合した数値シミュレーションモデルは最近では珍しくありませんが、これに波浪モデルを加えているのは世界的に見ても最先端の研究の1つです。今後は海洋生態系モデルの導入や衛星観測との比較を充実させ、発展途上国の自然環境・災害問題の監視・予測に貢献します。
   (図.2010年10月にフィリピンを襲った台風Megiの数値シミュレーション結果)

上図:色が海面水温(℃),コンターが海面気圧を表す.
下図:色が有義波高(m),コンターが海上風速の強さを表す.

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太平洋・インド洋・大西洋・南大洋における各種波動と気候変動の相互関係の解析

 海洋の波動全般の面白さは、海岸線・海面・海底といった境界条件が波の性質を決めることです。これによって波の捕捉・反射・回折が生じます。特に赤道域の海洋は「波動現象の宝庫」と呼ばれています。実際、海洋の赤道ケルビン波や赤道ロスビー波は、太平洋のエルニーニョ現象やインド洋ダイポールモード現象のような熱帯の気候変動において、重要な役割を担います。
 その他にも時空間スケールの小さいものから順に並べると海洋中には、海面波浪(風波)・津波・潮汐波・慣性重力波・ケルビン波・ロスビー波が存在します。また黒潮・メキシコ湾流・南極周回流のような基本流が不安定を起こして渦が形成されます。励起・維持機構がまだわかっていない波動・渦も多数が存在します。
 人工衛星による海面高度観測データの蓄積や3次元海洋数値シミュレーションの発達によって、これらの波動・渦を詳細に診断することが近年可能になってきました。私たちは各種波動によるエネルギー伝達経路を同定することで、新しい物理メカニズムの発見と、気候変動における波動の役割の解明を目指しています。
(図.人工衛星搭載海面高度計によって観測された1997/1998年のエルニーニョ現象[cm])


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