最近の研究から


2016 Wang, S., C. Xiao, J. Ishizaka, Z. Qiu, D. Sun, Q. Xu, Y. Zhu, Y. Huan, Y. Watanabe
Statistical approach for the retrieval of phytoplankton community structures from in situ fluorescence measurements, Optics Express, 24 (21), 23635-23653.

現場の蛍光測定による植物プランクトン群集構造の統計的把握
多波長励起蛍光光度計のデータをHPLC/CHEMTAXによる植物プランクトン群集構造データと統計的に合わせることによって、現場の群集構造を正確に推定する手法を開発した。

2016 Kim, W., J.-E. Moon, Y. Park, J. Ishizaka
Evaluation of chlorophyll retrievals from Geostationary Ocean Color Imager (GOCI) for the North-East Asian region, Remote Sens. Env. 18, 482-495.

静止海色イメージャ(GOCI)による北東アジア域のクロロフィルの評価
北東アジア域のクロロフィルで取得したデータで、静止海色イメージャ(GOCI)のクロロフィルアルゴリズムを評価した。 一般的なアルゴリズムは高濁度水で過大評価した。高濁度での補正を利用して35%の不確定性まで抑えることができた。

2016 Zhu, Y., J.Ishizaka, S.C. Tripathy, S. Wang, Y. Mino, T. Matsuno, D.J. Suggett
Variation of the photosynthetic electron transfer rate and electron requirement for daily net carbon fixation in Ariake Bay, Japan, J. Oceanogra., DOI: 10.1007/s10872-016-0370-4.

有明海の日純炭素固定に必要な光合成電子伝達速・xの変動
高速反復蛍光光度計(FRRF)で測定した電子伝達速度を用いて、純基礎生産を推定する方法を、植物プランクトン群集構造や環境要因の比較的単純な有明海のデータにおいて開発した。

2016 石田洋,古澤 一思, 牧野 高志, 石坂 丞二, 渡邉豊
西部北太平洋亜熱帯海域における台風の影響を受けた可能性のある植物プランクトン群集組成と沈降粒子, 海の研究, 25, 17-41

西部北太平洋亜熱帯海域での2004年から2006年の夏の調査で、2006年には台風の通過による可能性のある植物プランクトン群集の違いが見ら・黷ス。2002年から2005年のセジメントトラップのデータでは台風と直接関連が見られなかった。

2015 Tin, H.C., M.W. Lomas, J. Ishizaka
Satellite-derived estimates of primary production during the Sargasso Sea winer/spring bloom: Integration of in-situ time-series data and ocean color remote sensing observations, Regional Studes in Marine science, 3, 131-143. doi:10.1016/j.rma.2015.07.002

サルガッソ海の冬季・春季ブルーム中の衛星から推定した基礎生産:現場時系列と海色リモートセンシング観測の統合
2004年から2009年のサルガッソ海のクロロフィル鉛直分布と基礎生産データを解析し、光−光合成モデルのパラメータを求め、 衛星によって基礎生産を推定し、現場データと比較した。

2015 Chen, J., Y.K. Zhu, Y.S. Wu, T.W. Cui, J. Ishizaka, Y.T. Ju A Neural Network Model for K(lamda) Retrieval and Application to Global K-par Monitoring, PLOS ONE, 10(6), DOI: 10.1371/journal.pone.0127514.
K(lamda)を推定するためのニューラルネットワークモデルとその地球規模のK(PAR)モニタリングへの応用
波長別の光消散係数を推定するためのニューラルネットワークモデルを作成し、 それを地球規模の光合成有効放射の消散係数のモニタリングに応用した。

2015 Gao, L., D. Li, J. Ishizaka, Y. Zhang, H. Zog, L. Guo Nutrient dyamics across the river-sea interface in the Chagjiang (Yangtz River) estuary ? East China Sea region, Limnol. Oceanogr. 60, 2207-2221. Doi: 10.10002/lno.10196.
長江(揚子江)汽水域の河川−海洋境界での栄養塩ダイナミクス
2010年7月から2012・N7月から複数の船舶による航海で長江起源の東シナ海の栄養塩の挙動を調べた。

2015 林正能、石坂丞二、小林拓、虎谷充浩、中村亨、中嶋康生、山田智
伊勢・三河湾におけるMODISとSeaWiFSのクロロフィルa濃度の検証と改善, リモ・[トセンシング学会誌、35(4), 2015, 245-259
伊勢・三河湾における衛星クロロフィルa濃度を検証検証し、大気補正と水中アルゴリズムを修正して、精度の良いクロロフィルa濃度を推定できるようにした。

2015 Wang, S.Q., J. Ishizaka, T. Hirawake, Y. Watanabe, Y. Zhu, M. Hayashi, S. Yoo
Remote estimation of phytoplankton size fractions using the specral shape of light absorption, Optics Express, 23 (8), 10301-10318. DOI: 10.1364/OE.23.010301.

光吸収スペクトルの形を利用した植物プランクトンサイズ分画の遠隔推定法
植物プランクトンのサイズ分画を、衛星等で推定が可能な光吸収スペクトルの形を利用して推定する方法を提案した。

2014 Joji Ishizaka
Primary Production. In “State of the Marine Environment Report for the NOWPAP region (SOMER 2)”, Eds., V.M. Shulkin, A.N. Kachur, Northwest Pacific Action Plan (NOWPAP) Pollution Monitoring Regional Activity Center (POMRAC). pp. 26-30. 

基礎生産. 「NOWPAPの海洋環境の状況に関するレポート」
国連環境計画(UNEP)の北西太平洋に関する地域海行動計画(NOWPAP)のレポートで、日本海、黄海、東シナ海の環境に関して基礎生産の観点から簡単にまとめた。

2014 Sathyendranath, S., P. Chuhan, W. Gregg, N. Hoepffner, J. Ishizaka, J. Johannessen, M. Kampel, T. Kutser, T. Platt, J.-H. Ryu
Chapter 3: Ocean and Inland Waters, In "CEOS Strategy for Carbon Observations from Space", The Committee on Earth Observation Satellites (CEOS) Response to the Group on Earth Observation (GEO) Carbon Strategy. CEOS and JAXA, pp. 49-67.

海洋と内水面. 「宇宙からの炭素の観測に関するCEOSの戦略」
政府間地球観測作業部会(GEO)からの要望に対して地球観測衛星委員会(CEOS)がまとめた「宇宙からの炭素の観測に関するCEOSの戦略」の中で、衛星による海洋と内水面での炭素関係・フ観測に関してまとめた・B

2014 Gao, L., D. Li, and J. Ishizaka
Stable isotope ratios of carbon and nitrogen in suspended organic matter: Seasonal and spatial dynamics along the Changjiang (Yangtze River) transport pathway, J. Geophys. Res. Biogeosci., 119, 1717-1737, doi:10.1002/2013JG002487.

懸濁有機物中の炭素・Eニ窒素の安定同位体:長江(揚子江)からの輸送経路に沿った季節的・空間的な変動
東シナ海の長江河口から対馬にかけての、懸濁物質中の炭素と窒素の安定同位体に関して、季節的・空間的な変動を議論した。

2014 Chen, J., T. Cui, J. Ishizaka, C. Lin
A neural network model for remote sensing of diffuse attenuation coefficient in global oceanic and coastal waters: Exemplifying the applicability of the model to the coastal regions in Eastern China Seas. Remote Sens. Env., 148, 168-117., http://dx.doi.org/10.1016/j.rse.2014.02.019

地球規模海洋および沿岸水での拡散消散係数のリモートセンシングのためのニューラルネットワークモデル:東シナ海の沿岸域への適応の実証
ニューラルネットワークを用いたリモートセンシングデータから拡散消散係数を求めるモデルに・ツいて、地球規模海洋と沿岸水、特に東シナ海の沿岸水へ適応できることを実証した。

2014 Terauchi, G., R. Tsujimoto, J. Ishizaka, H. Nakata
Influence of river discharge on seasonal and interannual variability of remotely sensed chlorophyll-a concentration in Toyama Bay, the Sea of Japan. La Mer, 52, 49-60

日本海富山湾の衛星クロロフィルa濃度の季節、経年変動への河川流入の影響
1998年から2009年の富山湾の衛星クロロフィルaの変動を調べたところ、湾は内湾から外海まで3つの領域に分けることができた。 内湾域では、夏に向けて衛星クロロフィルa濃度が増加し、その濃度は経年的に増加しており、それに神通川からの栄養塩の流入と関連していることが示唆された。 また、内湾よりも外側の衛星クロロフィルa濃度も・Eヘ川・フ流量と相関があり、河川からの・x栄養化の影響がある場合もあることが明らかとなった。 (日仏海洋学会論文賞受賞)

2014 Terauchi, G., R. Tsujimoto, J. Ishizaka, H. Nakata
Preliminary assessment of eutrophicaation by remote sensed chlorophyll-a in Toyama Bay, the Sea of Japan. J. Oceanogr., 70, 175-184, http://dx.doi.org/10.1007/s10872-014-0222-z

日本海富山湾でのリモートセンシングで測定したクロロフィルaによる富栄養化の予備的評価
衛星で観測した富山湾でのクロロフィルaの1998年から2009年の長期変動から富栄養化の状況を調べた。 値の高低と、長期的な・X向の上昇、変化なし、減少で、6つの場所に分けることで、富栄養化の予備的な評価を行うことが有効であることを示した。

2014 Wang, S.Q., J. Ishizaka, H. Yamaguchi, S.C. Tripathy, M. Hayashi, Y.J. Xu, Y. Mino, T. Matsuno, Y. Watanabe, S.J. Yoo
Influence of Changjiang River on the light absorption properties of phytoplankton from the East China Sea. Biogeosciences, 11, 1759-1773., doi:10.5194/bg-11-1759-2014

東シナ海の植物プランクトンの光吸収特性への長江の影響
長江希・゜水の影響の強い東シナ海・ナは、対馬海峡やグローバルの海域のようにクロロフィルaの増加に伴ってクロロフィルaあたりの光吸収係数が減少する傾向が見られなかった。 これは対馬海峡の植物プランクトン群集では、他の多くの海域と同じようにクロロフィルaが増加すると大型の植物プランクトンが優占するが、 東シナ海では植物プランクトンの大きさとクロロフィルaの間に関係がないことと対応し、長江の富栄・{化の影響の可能性が考えられた。(下記Biogeosciences Discussionの最終原稿)

2014 Umezawa, Y., A. Yamaguchi, J. Ishizaka, T. Hasegawa, C. Yoshimizu, I. Tayasu, H. Yoshimura, Y. Morii, T. Aoshima, and N. Yamawaki
Seasonal shifts in the contributions of the Changjiang River and the Kuroshio Current to nitrate dynamics in the continental shelf of the northern East China Sea based on a nitrate dual isotopic composition approach. Biogeosciences, 11. 4, 1297-1317. doi:10.5194/bg-11-1297-2014

二つの同位体組成法による北部東シナ海の大陸棚の硝酸ダイナミクスへの長江と黒潮の貢献の季節的なシフト
北部東シナ海の冬と夏の硝酸塩ダイナミクスを、硝酸イオン中の窒素と酸素の安定同位体と水温・塩分を用いて調べた。 冬季は黒潮亜表層水と黄海混合水の硝酸の影響が大きく、沖縄トラフの表層水では黒潮表層水の貫入の影響で植物プランクトンが増加していた。 夏季には長江希釈水、黄海冷水と黒潮亜表層水の影響が大きいが、大気中の窒素や硝化の影響も考えられた。

2013 浜崎 恒二 , 石坂 丞二 , 齊藤 宏明 [他] , 杉崎 宏哉 , 鈴木 光次 , 高橋 一生 , 千葉 早苗, 海の研究, 22, 253-272.
海洋学の10年展望(III) : 日本海洋学会将来構想委員会生物サブグループの議論から(海洋学の10年展望-「海の研究」特集号-)

海洋学会で今後の10年間に案する研究の方向性を議論した内容の生物関係の章

2013 Wang, S., J. Ishizaka, H. Yamaguchi, S.C. Tripathy, M. Hayashi, Y. Xu, Y. Mino, T. Matsuno, Y. Watanabe, S. Yoo
Influence of river discharge on phytoplankton absorption propoerties: a cas study in the East China Sea and Tsushima strait. Biogeosciences Discussion, 10, 14475-14514., http://dx.doi.org/10.5194/bgd-10-14475-2013

植物プランクトンの光吸収特性への河川の影響:東シナ海と対馬海峡でのケーススタディ
対馬海峡ではクロロフィルaの増加に伴ってクロロフィルaあたりの光吸収係数が減少したが、長江希釈水の影響の強い東シナ海では その関係が見られなかった。 これは対馬海峡の植物プランクトン群集が、他の多くの海域と同じようにクロロフィルaが増加すると大型の植物プランクトンが優占する傾向を示したが、 東シナ海はサイズとクロロフィルaに関係がないことと対応した。(上記Biogeosiencesの査読時の原稿)

2013 Xu, Y., J. Ishizaka, H. Yamaguchi, E. Siswanto, S. Wang
Relationships of interannual variability in SST and phytoplankton blooms with giantjellyfish (Nemopilema nomurai) outbreaks in the Yellow Sea and East China Sea. J. Oceanogr., http://dx.doi.org/10.1007/s10872-013-0189-1

黄海と東シナ海の表面水温, 植物プランクトンブルームとエチゼンクラゲ(Nemopilema nomurai)の経年変動の関係
1998年から2010年にかけて、エチゼンクラゲの大発生と黄海・東シナ海の表面水温、植物プランクトンブルームの関係を調べた。エチゼンクラゲの大発生の長期的増加と最近の減少に関して、温暖化、富栄養化、タイミングの3つの仮説を調べた。 その結果、・キ期的には春先の水温の上昇と富栄養化がエチゼンクラゲの大発生を促すが・A2008年、2010年に大発生しなかったのは水温が15度に達する時期が遅いことが原因の可能性が示唆された。 しかし、低水温で発生しな原因は植物プランクトンの春季ブルームとのタイミングでは説明がつかなかった。 (日本海洋学会奨励論文賞受賞)

2013 Yamaguchi, H., J. Ishizaka, E. Siswanto, Y.B. Son, S. Yoo, Y. Kiyomoto
Seasonal and Spring Interannual Variations of Satellite-Observed Chlorophyll-a in the Yellow and East China Seas: New Datasets with Reduced Interference from High Concentration of Resuspended Sediment. Cont. Shelf Res., 59, 1-9. http://dx.doi.org/10.1016/j.csr.2013.03.009

黄海・東シナ海のクロロフィルaの季節的および春季の経年的変動:高い再懸濁・ヘ積物濃度の妨害を抑えた新しいデータセット
黄海・東シナ海沿岸で特徴的な高い再懸濁堆積物濃度の影響を抑えた新しいデータセットを使って、黄海・東シナ海・フクロロフィルaの季節的および春季の経年的・Eマ動を明らかとした。 その結果、黄海・東シナ海の広い範囲で春季ブルームがあり、冬場の懸濁物が春季ブルームを遅らせる場・鰍ェあること。 1998年から10年間で経年的に広い範囲で植物プランクトン濃度が上昇していることが明らかとなり、富栄養化の影響が考えられた。

2013 安藤朗彦、中田英昭、石坂丞二
玄海灘のケンサキイカ・剌鼬`成における対馬暖流の影響, 水産海洋 77, 83-91
玄界灘のケンサキイカ漁場に対する対馬暖流の影響を海表面水温を用いて調べた。 その結果、春には産卵適水温海域に集まり、対馬暖流の接岸、離岸・Epターンと関係しているが、秋には産卵適水温と関係なく沖ノ島周辺に集中することが明らかとなった。

2012 Ryu J.-H. and J. Ishizaka
GOCI Data processing and ocean applications. Ocean Sci. J., 47, 221, doi:10.1007/s12601-012-0023-5.

韓国の静止海色イメージャ(GOCI)の特集号の編集緒言。  

2012 Siswanto, E., J. Ishizaka, S.C. Tripathy, K. Miyamura
Detection of harmful algal blooms of Karenia mikimotoi using MODIS measurments: A case study of Seto-Inland Sea, Japan. Remote Sens. Env. 129, 185-196. , http://dx.doi.org/10.1016/j.rse.2012.11.003.

MODISデータを利用したKarenia mikimotoi の有害藻類ブルーム(HAB)の検出:日本の瀬戸内海西部でのケーススタディ
MODISで測定されたリモートセンシング反射率を利用して、瀬戸内海西部の有害藻類ブルーム(赤潮)を判別する手法を開発した。  

2012 Yamamoto, M., A. Shimamoto, T. Fukuhara, Y. Tanaka, J. Ishizaka
 Glycerol dialkyl glycerol tetraethers and the TEX86 index in sinking particles in the western North Pacific, Org. Geochem., 53, 52-62. http://dx.doi.org/10.1016/j.orggeochem.2012.04.010

西部北太平洋の沈降粒子中のグリセロールジアルカリグリセロールテトラエーテルとTEX86
 :堆積物から過去の水温を推定する指標となるグリセロールジアルカリグリセロールテトラエーテルとTEX86について 西部北太平洋の沈降粒子中の時間変化を調べた。 沈降粒子の時間変化を説明するために、同時期の衛星クロロフィルと基礎生産を用いた。

2012 Yamaguchi, H., H.-C. Kim, Y.B. Son, S. W. Kim, K. Okamura, Y. Kiyomoto, J. Ishizaka,
Seasonal and Summer Internannual Variations of SeaWiFS Chlorophyll a in the Yellow Sea and East China Sea. Prog. Oceanogr. 105, 22-29, DOI:http://dx.doi.org/10.1016/j.pocean.2012.04.004

黄海と東シナ海のSeaWiFSクロロフィルaの季節変動と夏の経年変動
:海色衛星センサーSeaWiFSのクロロフィルaの標準データを用いて黄海と東シナ海での季節的、経年的変動を調べた。 その結果冬季は沿岸域と長江海台周辺で高い濁りの影響でクロロフィルaが過大評価されているが、 濁りが減少した春季にブルームがおこること、 夏季には長江の流量が増加することによって起こるクロロフィルの増加が対馬海峡まで1−2ヶ月かけて広がり、 各海域の衛星クロロフィル濃度は長江流量とよい相関を取・驍アとが明らかとなった。 また黄海では、春季、夏季ともにクロロフィル濃度が長江流量と関係無しに増加していることが明らかとなった。 このことは現状での衛星クロロフィルデータも黄海・東シナ海の環境変動の把握に利用できることを示し、 また長江が東シナ海の環境に大きな影響を表すのに対して、黄海では富栄養化が進んでいる可能性がある。

2012 石坂丞二・エコシスワント・山田圭子・牧野高志
 東シナ海・日本海における基礎生産への台風の影響、沿岸海洋研究, 50, 39-44.
 :台風が基礎生産に与える影響について、我々のグループが最近東シナ海と日本海で行った研究例をまとめた。  

2012 Son, Y.B., W.D. Gardner, M.J. Richardson, J. Ishizaka, J.-H. Ryu, S.-H. Kim, S.H. Lee
Tracing offshore low-salinity plumes in the northeastern Gulf of Mexico during the summer season by use of multispectral remote-sesning data, J. Oceanogr., 68, 746-760. DOI 10.1007/s10872-012-0131-7

マルチスペクトルリモートセンシングによる北西メキシコ湾の夏季外洋低塩分プルームの追跡
:北西メキシコ湾の夏季外洋低塩分プルームを計測するために、衛星の青から緑の波長の輝度から光束消散係数を推定し、 この光束消散係数と塩分との関係から塩分の推定手法を開発した。

2012 Tripathy, S.C., J. Ishizaka, E. Siswanto, T. Shibata, Y. Mino
Modification of Vertically Generalized Production Model for Turbid Waters of Ariake Bay, Southwestern Japan. Est. Coast. Shelf Sci, 97, 66-77.

鉛直基準化基礎生産モデルの日本南西の有明海の濁水への改良
  :鉛直基準化基礎生産モデルを有明海に適応できるように改良した。 有明海ではこのモデルの中のパラメータの中でも、有光層の深さが最も重要であり、 濁水中でも有光層の深さが比較的正確に推定できる潜在的光学特性を利用するモデルを組み込むことで、 さらに正確に求めることができるようになった。

2011 Shiozaki, T., K. Furuya, H. Kurotori, T. Kodama , S. Takeda, T. Endoh, Y. Yoshikawa, J. Ishizaka, T. Matsuno
Imbalance between vertical nitrate flux and nitrate assimilation on a continental shelf: Implications of nitrification, Geophysic. Res. Lett., 116, C10031, doi:10.1029/2010JC006934

大陸棚上での硝酸鉛直フラックスと硝酸同化の不均衡:硝化との関係
 :東シナ海の大陸棚で硝酸の鉛直フラックスと同化を測定したところ、同化がずっと早かった。 この場所では有光層内で硝化を行うことのできる古細菌の遺伝子が見つかったことから、有光層内での硝化が影響している可能性が高い。

2011 Siswanto, E., J. Tang, H. Yamaguchi, Y.-H. Ahn, J. Ishizaka, S. Yoo, S.-W. Kim, Y. Kiyomoto, K. Yamada, C. Chiang, H. Kawamura
Empirical ocean color algorithms to retrieve chlorophyll-a, total suspended matter, and colored dissolved organic matter absorption coefficient in the Yellow and East China Seas. J. Oceanogr., 67, 627-650, DOI: 10.1007/s10872-011-0062-z

黄海と東シナ海のクロロフィルaと懸濁物重量、有色溶存有機物の係数を推定する経験海色アルゴリズム
:黄海と東シナ海では懸濁物質が多いために、外洋域の手法では海面の色からクロロフィルaなどの推定に誤差が大きいことが知られている。 そこで、日中韓の研究者がデータを持ちよって、 黄海と東シナ海に適応できる海面の色・ゥらク・鴻鴻tィルa、懸濁物重量、 有・F溶存色素の濃度を推定する経験的な手法を開発した。

2011 安藤朗彦、石坂丞二、中田英昭
玄界灘のマアジ漁場形成におよぼす対馬暖流の影響, 水産海洋研究, 75, 154-160.
 :玄界灘のマアジの漁業形成と対馬東の衛星海面水温を比較することによって、対馬暖流の位置によってマアジの漁場形成場所が異なることを明らかにした。

2011 Saba, V.S., M.A.M. Friedrichs, D. Antoine, R.A. Armstrong, I. Asanuma, M.J. Behrenfeld, A.M. Ciotti, M. Dowell, N. Hoepffner, K.J.W. Hyde, J. Ishizaka, T. Kameda, J. Marra, F. Melin, A. Morel, J. O'Reilly, M. Scardi, W.O. Smith Jr., T.J. Smyth, S. Tang, J. Uitz16, K. Waters, and T.K. Westberry
An evaluation of ocean color model estimates of marine primary productivity in coastal and pelagic regions across the globe, Biogeosciences, 8, 489-503.

海色モデルで推定した地球の沿岸と沖合いでの海洋基礎生産の評価
:沿岸と沖合いを含んだ多くのデータで世界の21の海洋基礎生産モデルを評価した。単純なモデルは複雑なモデルと比較して精度は悪くなかった。沿岸は沖合いよりも精度が悪く、光学的に複雑な海域の基礎生産モデルを向上する必要がある。我々のモデルはトップレベルの精度であり、特に沿岸域では最も良い精度であった。


2010 Shibata, T., S.C. Tripathy, J. Ishizaka,
Phytoplankton Pigment Change as a Photoadaptive Response to Light Variation caused by Tidal Cycle in Ariake Bay, Japan. J. Oceanogr., 66, 831-843.

日本の有明海の潮汐周期による光動に対する植物プランクトン色素変化の応答
:有明海では大きな潮汐が・mられているが、大潮・小潮の変動による光変化に植物プ・宴塔Nトンが光合成色素を変化させて応答するかどうかを調べた、 流速の早い大潮では混合層の深・ウが深くなり、また懸濁物質による濁りによって有光層も浅くなった。これに伴って、強光・j・Qを防ぐ・F・fが増加していたことが明らかとなった。

2010 佐々木宏明・Siswanto Eko・五味泰史・西内耕・清本容子・岡村和麿・長谷川徹・石坂丞二,
春〜夏季東シナ海における海色衛星を利用した低塩分水の分布・マ動と大型クラゲ(Nemopilema nomurai)分布との関係, 海と空, 86, 1-11.


2010 Hutahaean, A.A., J. Ishizaka, A. Morimoto, J. Kanda, N. Horimoto and T. Saino,
Development of Algorithms for Estimating the Seasonal Nitrate Profiles in the Upper Water Column of Sagami Bay, Japan. La Mer, 48, 71-86.
相模湾の上層の季節的な硝酸塩プロファイルの推定アルゴリズム
:水温、塩分、ク・鴻鴻tィルaを利用して、相模湾の上層の硝酸塩鉛直分布を季節別に推定する手法を開発した。
 (日仏海洋学会論文賞受賞)


2010 Saba, V.S., M.A.M. Friedrichs, M.-E. Carr, D. Antoine, R.A. Armstrong, I. Asanuma, O. Aumont, N.R. Bates, M.J. Behrenfeld, V. Bennington, L. Bopp, J. Bruggeman, E.T. Buitenhuis, M.J. Church, A.M. Ciotti, S.C. Doney, M. Dowell, J. Dunne, S. Dutkiewicz, W. Gregg, N. Hoepffner, K.J.W. Hyde, J. Ishizaka, T. Kameda, D.M. Karl, I. Lima, M.W. Lomas, J. Marra, G.A. McKinley, F. Melin, J.K. Moore, A. Morel, J. O’Reilly, B. Salihoglu, M. Scardi, T.J. Smyth, S. Tang, J. Tjiputra, J. Uitz, M. Vichi, K. Waters, T.K. Westberry, and A. Yool, Challenges of modeling depth-integrated marine primary productivity over multiple decades: A case study at BATS and HOT, Global Biogeochem. Cycles, 24, GB3020, doi:10.1029/2009GB003655.
数十年にわたる深さ積分海洋基礎生産モデルのチャレンジ:BATSとHOTのケーススタディ
:22の海色モデルと14の生物地球化学循環モデルをバーミューダ大西洋時系列とハワイ時系・フ20年にわたるデータと比・rし・ス。多くのモデルが平均基礎生産を過小評価し、循環・cfルの誤差が大きかった。最もよい海色モデルの精度はよかったが、現場の傾向を表すには衛星クロロフィルデータではだめだった。


2010 Tripathy, S.C., J. Ishizaka, T. Fujiki, T. Shibata, K. Okamura, T. Hosaka, T. Saino,
Assessment of carbon- and fluorescence-based primary productivity in Ariake Bay, southwestern Japan, Est. Coast. Shelf Sci. 87: 163-173.

炭素法と蛍光法による日本南西の有明海の基礎生産の評価
:有明海おいて13Cを用いた培養法(炭素法)とFRRFと呼ばれる蛍光光度計(蛍光法)で現場で測定した基礎生産は、短時間培養では表面を除きほぼ同じであったが、24時間での結果は大きく異なった。これは有明海では潮汐によって異なった性質の水が移動するためと考えられた。


2009 Ishida, H., Y.W. Watanabe, J. Ishizaka, T. Nakano, N. Nagai, Y. Watanabe, A. Shimamoto, N. Maeda and M. Magi,
Possibility of recent changes in vertical distribution and size composition of chlorophyll-a in the western North Pacific region, J. Oceanogr..65, 179-186.

西部北太平洋域でのクロロフィルaの鉛直分布とサイズ構成の最近の変化の可能性
:西部北太平洋の夏季のクロロフィルaはこの数十年間で、全体量は減少傾向にあり、亜表層クロロフィル極大が深くなる傾向に・烽閨Aそして小型化してきている・アとが明らかとなった。またこの海域の密度は減少し、沈降粒子中のオパールが減少していた。このことは温暖化によって、大型の植物プランクトンが減少してきている・ツ能性を示・エ・オている。
  (日本海洋学会日高論文賞受賞)


2009 Endo, T., T. Matsuno, Y. Yoshikawa, Y. Tatsuyama and J. Ishizaka,
Observations of wind-driven deepening of the surface mixing layer in the Tsushima Strait, J. Oceanogr., 65, 273-279.

対馬海峡での風による表層混合層の深化の観測
:・翌ノよる対・n海峡での混合層・フ深化を、衛星追跡ブイにつけた流速計と乱流微細構造測定装置での計測の結果、1日よりも短い時間での乱流エネルギーの変化が重要であったことがわかった。これは主に九州大学での海洋物理学の仕事であるが、このような混合層の変化は一次生産など生物現象にも重要であり、また生物・ハの違いで混合過程にも違いが出る可能性が考えられる。


2009 Kim, H.-c., H. Yamaguchi, S. Yoo, J. Zhu, K. Okamura, Y. Kiyomoto, K. Tanaka, S.-W. Kim, T. Park, I.S. Oh and J. Ishizaka,
Distribution of Changjiang Diluted Water Detected by Satellite Chlorophyll-a and Its Interannual Variation during 1998-2007, J. Oceanogr., 65, 129-135.

衛星クロロフィルaから求めた長江希釈水の分布とその1998年から2007年の経年変動
:1998年から2007年の夏季東シナ海の衛星・N・鴻鴻tィルデー・^に・ツいて、統計解析で高い濃度範囲を決めて塩分と比較したところ、低塩分水との対応が見られた。またその面積は長江からの淡水流入の経年変動と対応し、1−2ヶ月で東シナ海を東に広がっていたことが明らかとなった。


2009 Ishizaka, J.,
Ocean Color Research for Global Imager (GLI) on Advanced Earth Observation Satellite-II (ADEOS-II) J. Remote Sensing Soc. Japan, 29, 74-79.
みどり2号グローバルイメージャのための海色研究
:2002年12月に打ち上げられた日本の地球観測衛星み・ヌり2号のセンサーグローバルイ・=[ジャは、海の色を測定して、植物プランクトン分布を調べることができる。ここでは、みどり2号のプロジェクトで著者のグループが行なった研究をまとめた。


2009 Nakajima, T., H. Murakami, M. Hori, T.Y. Nakajima, H. Yamamoto, J. Ishizaka, R. Takeishi, T. Aoki, T. Takamura, M. Kuji, D.D. Nguyen, A. Ono, S. Fukuda and K. Muramatsu,
Overview and Science Highlights of the ADEOS-II/GLI Project. J. Remote Sensing Soc. Japan, 29, 11-28.
み・ヌり2号グローバルイメージャプロジェクトの概要と科学的ハイライト
:2002年12月に打ちあげられた・坙{の地球観・ェ衛星みどり2号のセンサー・Oローバルイメージャは、大気、陸、海、雪氷圏の観測を行った。ここでは、みどり2号のプロジェクトで行なわれた研究がまとめられている。


2009 Friedrichs, M.A.M., M.-E. Carr, R.T. Barber, M. Scardi, D. Antoine, R.A. Armstrong, I. Asanuma, M.J. Behrenfeld, E.T. Buitenhuis, F. Chai, J.R. Christian, A.M. Ciotti, S.C. Doney, M. Dowell, J. Dunne, B. Gentili, W. Gregg, N. Hoepffner, J. Ishizaka, T. Kameda, I. Lima, J. Marra, F. Melin, J.K. Moore, A. Morel, R.T. O'Malley, J. O'Reilly, V.S. Saba, M. Schmeltz, T.J. Smyth, J. Tjiputra, K. Waters, T.K. Westberry, A. Winguth
Assessing the uncertainties of model estimates of primary productivity in the tropical Pacific Ocean. J. Mar. Sys.,76, 113-133.

熱・ム太平洋の基礎生産のモデル推定に関する不確実性の検討
:現在、衛星データや海洋大循環モデルを用いて海洋の基礎生産を推定するモデルが開発されているが、まだその値にはばらつきがある。ここでは世界で開発されている30のモデルについて、熱帯太平洋について現場データとの比較を行なった。その結果、ほとんどのモデルは過少評価となっており、80年代から90年代への現存量当たりの基礎生産の上昇を再現できなかった。しかし・A6年前に行なわれた同様の試みよりは全体の誤差は減少しており、今後のさらなる努力の必要性が示唆された。


2009 石坂丞二・Gathot Winarso・Young-Baek Son・Hyun-Cheol Kim・EYoung-Sang Suh
衛星による韓国南岸のCochlrodinium polykrikoides 赤潮のモニタリング、日本プランクトン学会報、56, 60-63.
:韓国南岸では近年Cochlrodinium polykrikoidesという種類の赤潮が頻・ノに発生し漁業被害を与えている。ここでは衛星リモートセンシングでこの赤潮の範囲を捉える試みについて述べた。






過去の論文はこちら。






戻る