Aiki et al. (2017 PEPS)は理論研究によって、EPVのインバージョンから得られる流線関数を使用すれば、浅水方程式で表される全ての種類の波についての、群速度ベクトル分布を全ての緯度帯において連続して計算することができる事を示しました。これは(全ての種類の波についての)オートフォーカス機能と(全ての移動帯についての)シームレス機能の両方を備えた新しい解析手法です。つまり赤道域と中緯度域の力学を融合し、統一的に赤道波・中緯度惑星波・慣性重力波を取り扱うことができます。ポスター
これによって、(i) どのくらいの時間スケールの平均が適切なのか? (ii) 診断用の1層を定義するにはどの高度帯(AGCMの場合)および深さ帯(OGCMの場合)を選べばよいのか? (iii) Level-0エネルギーフラックス用のEPVインバージョンプログラムの開発はどのくらい求められているのか?についての情報交換を行い、新しい研究成果を創出していきたいと思います。
クイックスタート
まずインバージョンプログラムをコンパイルするにはunixのプロンプトから
make clean all
と打ちます。次にサンプルデータ(EPVの水平分布・重力波速度の水平分布)を作成します。このためにはgradsを起動して
exec gmksample.gex
とします。そしてgradsを終了してunixのプロンプトに戻ります。最後にインバージョンプログラムを起動するには
./invc2d dertelpv.19990101.dta
のようにします。結果を見るにはgradsを起動して
open cstrmfc-sample.ctl
d stf
とします。
Level-2のエネルギーフラック計算用の流線関数は古典的(classic)なEPVインバージョンの式を解いて求めます。その実行プログラムはinvc2dで並列計算機でなくても動きます。一方、Level-0のエネルギーフラックス計算用の流線関数は新しい(exact)EPVインバージョンの式を解いて求められています。この式には2階の時間微分項が含まれます。この式を解く実行プログラムはinve2dで、水平方向に2次元、時間方向に1次元、合計3次元の時空間でメモリーを確保し、流線関数の分布をBICGSTAB2法で求めます。前処理には時間方向のLU分解に基づく陰解法を使用しています。inve2dは使用メモリー量負荷が高いので並列計算機を使って動かすように設計されています。実行するには、epvファイル群のリストを先に作っておきます。そのためにはunixのプロンプトから
ls dertel*.dta >! list
と打ちます。その後
mpirun -n 40 ./inve2d list
のようにして実行します。